地熱発電の大きな問題点となっているのが開発の難しさです。技術的な問題ではなく、地熱発電に向いている候補地は国立公園に指定されていたり、温泉街であったりするため、発電所建設に反対する声が大きくなっています。

候補地に挙げられている場所で生活されていたり、仕事を営んでいる方々にとって、新規の発電所建設が決まると、それは大きな影響となり得ます。

その他にもいくつかデメリットや問題点がありますので、分かりやすくまとめてみました。

温泉に影響が出る可能性がある

地熱発電に必要な地熱が豊富にある場所の周辺には温泉があることが多いです。温泉がなぜ湧き出たときから温かい(熱い)のかというと、それは地熱で熱されているからです。

つまり、地熱発電を行うために利用する水蒸気や熱水が既に湧き出ている温泉に影響を与える可能性があると言うことができます。具体的にどのような影響を与える恐れがあるのか箇条書きにして以下に並べてみます。

  1. 湧出するお湯が減少する。もしくは枯渇する。
  2. 地下深くを掘ることによって地盤に変化が起き地震が誘発される。
  3. 同じく地盤の変化によって崖崩れが誘発される。
  4. 地熱発電に利用しない熱水を地下に還元することで地下水が汚染される。

以上が主な影響として考えられます。いずれもあくまで可能性があるというだけではありますが、その地に暮らしている方や、温泉街でビジネスを営んでる方にとって、温泉への影響が万が一でもあるとしたら、生活に大きな変化やダメージを与えてしまうことが考えられます。

また、既に国内外の一部で影響が出たという実例が発表されている点も新規の地熱発電所建設の理解を得られにくいポイントとして上げることができます。

例えば秋田県の大沼地熱発電所周辺にある温泉では湧出量が少なくなったほか、源泉の温度も低くなりました。温泉で有名な大分県の大岳地熱発電所周辺にある温泉では20ヶ所以上の源泉の湧出量が低下したほか、一部は枯渇しました。

温泉街・観光地の景観に影響を与える

地熱発電所を建設して運営するのに適している場所は温泉の近くが多いということは一つ上の項目でご紹介しました。そしてその適している場所の大半が国から国立公園に指定されています。

温泉街にしても国立公園にしても、主な産業は観光業旅行業であることに変わりはありません。普段見ることのできない美しい景観や風景を楽しみにやってくる観光旅行客も少なくないはずです。

温泉の泉質や泉温に影響がなかったとしても、大きな発電所や発電所から立ち上る煙などが景観の美しさを損ねてしまうという可能性は十分に考えられます。

ほかの発電方法と比べると建設コストが高い

火力発電原子力発電はその場所に建物を建てて、燃料を手に入れれば発電をスタートすることができるので、コストはそれほどかかりません。

また、太陽光発電風力発電水力発電といったエコな発電にしても、建設する場所を考えて、建設するだけなので、こちらも比較的多くのコストはかかりません。

しかしながら、地熱発電は地下を掘って調査をする必要があるうえ、発電所を建設するのにも長い時間がかかります。

それで確実に一定量以上の発電が見込めるのであれば問題ないのですが、想定していたよりも発電量が少なくなってしまうこともあり得ます。

ちなみに、調査から稼働まで10年はかかると言われているため、調査の段階では考えられない環境の変化(発電所建設に必要な資材の価格高騰や、エネルギー価格の低下など)によって採算割れを起こしてしまうことも考えられます。

建設中のボーリング作業によって騒音や振動が生じる

発電所建設だけではなく、その調査のためにも一定以上の時間を必要とします。地熱発電の調査では地下を掘る必要があるため、どうしても周辺地域に作業に伴う騒音や振動が発生してしまいます。

調査期間が短ければまだ良いのですが、長引くと地元からの反発が大きくなる可能性も否めません。

また、地下深く掘り進めていくため、ボーリング作業中に事故が起きてしまう危険性もあります。発電所として稼働してからの危険性は大きくないのですが、発電所が完成するまでに発生しうる事故の危険性には注意が必要となるでしょう。

地熱発電に反対する意見

費用対効果の悪い発電方法

地熱発電は日本の国土に最も適している発電方法だと以前は思っておりましたが、色々と調べてみるとデメリットが非常に多く存在している事が分かりました。だから、現在はまだ国があまり地熱発電に対しては積極的ではないのかも知れません。

デメリットの中には「温泉が出なくなってしまう」とか「吹き出す蒸気の成分によりタービンの腐食や損傷が激しかったりする」そうです。

また、費用をかけて建設したとしても発電効率があまり高くないそうなのです。そうなると、開発や運用に掛けた費用は全て無駄になってしまう可能性すらあると言い換えることができます。

ですので、地熱発電では費用対効果はあまり見られず、積極的に導入されないようです。

あまりにも見返りが少ない

50代男性会社員です。私の住んでいるところは福島県の有名温泉地が近いところになります。最近、地熱発電所を作り、太陽光発電のようにエコなエネルギーで原子力発電の代わりにしようという動きがあるようです。

しかし、地熱発電についてよく調べてみると、温泉を利用するということで山の近くに施設を建てるそうです。それにより、温泉地の景観が損なわれたり、温泉の水量が減ったりという弊害も各地で起きているようです。

それに、国立公園も近くにあるので、それを壊すことになってまで、わざわざ施設を作ろうとするメリットは感じられません。

発電量もそれほど多くないと言うことなので、水力などと同様に、自然破壊や住民の追い出しをした割には、あまりにも見返りが少なく、ただ単に自然破壊をしただけになりかねません。

原子力の不足分ということであれば輪番停電で十分かと思います。

地熱発電は増やせない

地熱発電は、技術的には優れた発電方法です。地下からのエネルギーを利用して発電できるなら、エネルギー源を輸入する必要が無くて便利に思えます。

しかし、地熱発電の占める割合は、2017年度現在で0.2%しかないのです。それを見たら大きな問題があるとわかります。

地熱発電に利用する熱源は、温泉が考えられますが、既に温泉は様々な目的で利用されていて、使いたくても使い難い状態にあります。

温泉地で大々的に使っている物を取り上げて発電設備にすると言っても、反対意見が出て、建設まで至ることがありません。未使用の熱源は人のいない国立公園内にあって、開発するのが難しい。国立公園内から電線を引いてくるのは駄目でしょう。

こんな状態であれば、開発することもできずに計画倒れになります。

どれだけ優れた発電方法でも、建設可能な土地がなかったら、使用することができません。地熱発電は増やせません。別の発電方法にした方がいいです。

コストパフォーマンスが悪い

地熱発電は、基本的に発電をするにしても場所を選ぶという面でまず問題点があります。

火山や温泉が出るような地域でないとまず設置が難しいものですから、利用する場所は限られています。そういったものがまったくない地域では活用できません。

また、地熱発電に関しては火山ガスなどに含まれている成分が、地熱発電に利用するパイプなどの腐食や劣化につながったりします。

定期的にパイプなどの機材を交換などしないといけませんので、意外に維持管理コストがかかってしまうというのも、かなり大きな問題となっています。

それ故、費用面に関してもかえってかかってしまいますから、コストパフォーマンス的に落ちてしまうといったところもデメリットとして挙げられます。

現実的な発電手段ではない

地熱発電は経済的な観点から反対です。日本は火山が多いので地熱発電に適している地形ですが、火山が起きた際には溶岩などによって発電施設に損傷が起き、復旧するための費用負担が掛かります。

特に近年は活発な火山活動が増えており、火山の危険性は増しており、万が一、復旧するための費用が発生した際は、電力会社では費用が賄えず、国だけでなく、実際に電力を使用する国民負担になる可能性があります。

また、どの火山を利用するかといった調査にも費用が掛かり、実際に稼働するまでのコストも莫大です。派遣する人員などのランニングコストも発生することから、地熱発電は現実的な発電手段ではないと考えています。

色々なデメリット

地熱発電は一見クリーンなイメージもありますが、色々なデメリットがあります。まず、温泉への影響です。

地熱エネルギーは地中の熱を資源としているため、少なからず温泉に何らかの影響をもたらしかねません。温泉大国である日本にとってはかなり重要な問題です。もし地熱発電により温泉が減ってしまえば観光産業にも響いてくるのです。

さらに発電所を作るにあたっての地下の調査費用等が掛かるために、そのコストに見合った発電量が得られないかもしれないというリスクがあります。

しかも、その時の工事の振動や騒音なども周囲に迷惑をかけてしまいます。加えて、発電所が稼働するまでには10年20年とかなりの時間がかかるのです。こういった内容からみて、地熱発電には反対です。

文化や観光に大きな影響

地熱発電は火山が多く地熱の多い日本に適していますが、日本は現在、地熱を温泉などの観光に使用しています。

しかし、地熱発電を始めるにあたっては火山の周辺や温泉地が候補地になりますので、観光産業への打撃はリスクとして考えなければなりません。

また、地熱発電所の建設費用や、建設期間の問題や自然破壊の問題もあります。こういった問題は人々の生活に深くかかわってきます。観光地のすぐ近くに大きな施設を建設するということは、観光地の景観を損なうことにもなります。

温泉は日本の大事な文化ですので、観光に影響の与えない別の発電方法があるのに、文化や観光に大きな影響を与えてまで行う価値があるとは言えないと思います。

温泉街や観光地に打撃

地熱発電は火山大国である日本において、非常に注目されている発電ではあります。

しかし、地熱発電は火山の近くの地熱を使うことが必要になっていますが、そこには温泉街など観光地がすでに多く存在しています。つまり、地熱発電を進めていくということは、日本の温泉街や観光地に打撃を与える発電になり得るということです。

日本の経済に大きなダメージを与えることを考えると、進めるべきではありません。また、自然への影響も大きいと考えられ、環境面でも大きなダメージとなります。

日本の観光業はこれから伸ばしていかなければならないものであり、自然に関しても緑化計画がされている中で、その逆に進めてしまう地熱発電はするべきではないと考えます。