【株式新聞・総力配信】ノーベル賞迫る、関連株を先取り(3)―生理学・医学は連覇へ
2019-09-30 15:03:00.0
それではいよいよ、今年受賞が期待される研究者とその関連銘柄を見ていきたい。
<免疫領域はブライトパスなどマーク>
まずは生理学・医学賞。昨年の本庶佑京都大学教授に続き、今年も免疫学は有力な分野となる。株式市場でも、がんの免疫療法を開発するカルナバイオサイエンス<4572>などは人気が高い。
この免疫の領域で、ノーベル賞に値する功績を残している研究者の一人が、大阪大学の坂口志文特任教授だ。坂口教授は、「制御性T細胞」と呼ばれる過剰な免疫反応にブレーキをかける細胞を発見した。本庶教授の「免疫チェックポイント阻害剤」にもつながる理論で、新たな医療の扉を開いた。
坂口教授は15年に、医学分野の権威ある学術賞「ガードナー国際賞」を受賞。同賞は、歴代の受賞者がその後ノーベル生理学・医学賞の栄誉にあずかったことでも知られる登竜門だ。
今年もこの分野で日本人受賞者が出れば、12-13年のiPS相場までとは言わないまでも、バイオ株人気が一段と盛り上がる可能性は高い。関連株は前出のカルナバイオのほかにも、テラ<2191>、メディネット<2370>など多数ある。
中でも注目されるのは「CAR―T(カーティー)細胞療法」を開発するブライトパス・バイオ<4594>。カーティー療法は、遺伝子操作で加工した患者自身の免疫細胞により、がん細胞をピンポイントで攻撃する。3月にはノバルティスファーマの白血病治療薬「キムリア」が国内で初めて承認された。ブライトパスもこの分野で信州大学と共同研究開発契約を締結している。
坂口教授と同じく、17年にガードナー賞を受賞したのが東京農工大学の遠藤章特別栄誉教授。遠藤教授はコレステロールの血中濃度を下げる物質「スタチン」を発見。代表的な生活習慣病の動脈硬化に対する画期的な薬であるスタチンは、社会への貢献度が極めて大きく、まさにノーベル賞級の「顕著な功績」だ。
スタチンについては、既にスタンダードとなっているため免疫療法のような目新しさはない。しかし、健康寿命を延ばす国策には依然として欠かすことができない。
穴株としては、日本水産<1332>が挙げられる。同社は魚介類の油に多く含まれる「EPA(エイコサペンタエン酸)」を手掛けるが、最近ではスタチン系薬剤とEPA製剤の併用療法の研究も進んでいる。
<「小胞体ストレス応答」ならアステラス薬>
クラリベイト・アナリティクスが今回のノーベル賞をめぐり注目すべき日本人に挙げた京都大の森和俊教授は、細胞内の「小胞体」が異常なたんぱく質の蓄積を防ぐ「小胞体ストレス応答」という現象を解明した。アステラス製薬<4503>は、この仕組みを調節する創薬の研究を米バイオベンチャーと進めている。
このほか、「バイオインフォマティクス(生命情報科学)」と呼ばれるDNAなどの解析技術に貢献した京都大の金久實特任教授も有力候補。関連銘柄はゲノム創薬のトランスジェニック<2342>やタカラバイオ<4974>などをマークしたい。
*【株式新聞・総力配信】ノーベル賞迫る、関連株を先取り(4)に続く
提供:モーニングスター社