日立・GE、カナダ州政府と小型原子炉開発
【ニューヨーク=小川義也】日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)の原子力合弁会社、日立GEニュークリア・エナジーなど関連3社は25日、カナダの州政府と小型原子炉を共同開発すると発表した。出力が従来型原子炉の半分以下の小型炉は安全性が高く、建設・運営費も安いとされる。福島第1原子力発電所の事故を受け、安全性を重視した小型炉の需要が一段と高まると判断した。
日立GEニュークリアの魚住弘人社長とカナダのサスカチワン州のロブ・ノリス革新技術担当大臣が25日、同州で共同研究開発の覚書に調印した。今後5年間に、それぞれ500万カナダドル(約4億円)を投資する。対象にはウラン回収技術や放射線医療技術も含んでおり、2023~25年の実用化を目指す。
開発する小型炉は出力30万キロワット程度で、現在主流の大型炉(100万キロワット級)の3分の1以下。日立が中心となって開発してきた小型沸騰水型軽水炉「DMS」をベースにする。大型炉に比べて機器類が少ないため、故障や誤作動による事故の可能性を低減できるほか、建設期間の短縮などを通じコストの抑制も期待できる。
カナダでは現在、18基の原子炉が稼働中。サスカチワン州は燃料となるウランの世界最大の生産地だが、電力の大半を石炭火力に依存しており、原発は1基もない。同州は、小型原子炉を導入すれば二酸化炭素(CO2)排出量を減らせるうえ「広大な土地に人口が分散している州内の送配電コストを劇的に減らせる可能性がある」(ノリス大臣)と見ている。
小型原子炉を巡っては、米原子力大手バブコック・アンド・ウィルコックス(B&W)が6月、米電力大手と20年までに最大6基の小型炉を建設することで合意した。日本勢では東芝が出力1万キロワットの超小型炉を、三菱重工業も35万キロワットの小型炉を開発中。仏アレバやロシアのロスアトムなども独自の小型炉の開発をそれぞれ進めている。